君に、会いたい
チャペルに移動して、挙式が始まった。



新郎の山下…緊張した面持ちで入場。
バスケ部キャプテンを務めてた長身イケメン。
たくさん告白されてたけど、断ってばかりだった。
理由は、ひまりに片想いしてたから。


大学も一緒で、ずっと引きずってた山下に、私から神のお告げをした、成人式終わりの同窓会。



「ひまりは、山下のこと好きだよね?」
慣れないお酒で、余計でお世話な一言を言ってしまった。



そこからやっと、2人は付き合い始めた。それで、そのまま結婚。私のおかげ!



山下がバージンロードを歩き終え、振り返った。扉が開いた先に、白いウエディングドレスのひまりが見えた。

隣のお父さんは、この世の終わりくらいに大号泣。ひまりもつられて泣いていた。

その姿に、私と渚と凛ちゃんも号泣。
山下と腕を組んで歩いていくひまりを見て、また号泣。


「あまり泣くなよ、引くぞ」
後ろから、同級生の雄大(ゆうだい)の声がした。
振り向いた渚は、
「男には分かんないんだよ、この感情が。愛おしいの、ひまりが」
と言い、すぐに前を向き、自分の世界へ入った。



「それでは、誓いのキスを」
神父様の言葉に、山下とひまりは少し照れた顔をして、キスをした。



2人の幸せそうな姿を、目に焼き付けた。
私にも、こんな日がくるのだろうか。
心の底から結ばれるような…そんな相手が。



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