君に、会いたい
じゃあ、帰ろっか!と渚が言った時、後ろから懐かしい声が聞こえた。



「桜。」




少し、ゾワっとした。
今の今まで、話さなかったのが奇跡だよね。避けて通れる訳ない。



「久しぶり」



返事をしない固まった私を見て、ひまりが言った。

「万智、今日は本当ありがとうね!わざわざ遠いところから」

今日何回も言って、万智にも絶対に言った言葉を、何も言えない私に代わって、
言葉を返した。


「とてもいい式だったよ、ホントおめでとう」
万智がひまりに言った。


こんな事じゃダメじゃん。
バカだな私、ひまりに気を遣わせちゃって。



「久しぶり!ごめんね、話すタイミング見失っちゃって!」
本当のこと。タイミングが分からなかっただけ。
避けてても始まらない、向き合わなきゃ!



「少し話したい、久しぶりに。」
万智の言葉にドキッとしたけど、
「うん!じゃあ、帰ろっか!」
平然と答えた。



万智の方向に体を進めた。
渚、凛ちゃん、ひまりと順に目を合わせた。大丈夫だよ、と念を送った。



「じゃあね桜、また近々」
凛ちゃんの言葉に振り返って、またね!と言って手を振った。


きっと、ひまりが新婚旅行から帰って来たら、女子会開催だろうな…









< 21 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop