君に、会いたい
「寒くない?大丈夫?」
振り向くことなく、万智が言った。

「大丈夫だよ」
どんな顔してるんだろう。ふと思った時、万智が振り向いた。


「横歩けよ、居るか分かんなくなる」


昔、しょっちゅう言われた言葉。
歩幅が違うから、少し後ろを歩く私。

万智は背が高くて、私は背が低いから、
振り向くと視界に入っていなくて。

「桜?!」「え?!何?」「あ!居た」これがいつものやりとりだった。


思わず笑ってしまった。
「そんなに存在感ない?!」
ちゃんと目と目が合った。昔と変わらない優しい目。


「そんな意味じゃないよ、ごめん」
「別にいいよ、よく言われる」
普通に話せて、少しホッとした。



「最近はどう?忙しい?」
歩きながら、話を続けた。
万智は、20歳のときにアメリカ留学をして建築を学んでいた。


「うん、まあね。」

そう言って、夜空を見上げた万智。


「こっちに帰ろうと思ってるんだ。手続きもあるし、新しい会社にも顔出したり。しばらくこっちに居る」


「そうなの?!じゃあ、前みたいにみんなで会えるね!」
「そうだね」


素直に嬉しかった。

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