君に、会いたい
「桜!」


突然、万智の声がして振り返った。
パッと振り返ると、肩を抱き寄せられキスをした。そっと触れるキス。
ゆっくりと唇を離した万智の顔を見た。


「え?なんで?」
思わず、万智に言った。理解ができなかった。
「どうして?」
少し、泣きそうになった。





「忘れられなかった、桜のこと」





万智に、心が引き戻されそうになった。


嫌いになって別れた訳じゃない。
でもあの時、
確実に万智は私に100%の気持ちはなかったから。


確実に揺れていたから。あの女性に。



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