クリスマスのお話



豹くんへのプレゼントが、わたし?これはあれかな、かの有名な「ダーリン、わたしを食べて?」みたいなニュアンスのやつ?豹くんってそんなキャラだったっけ?


それとも今までそういうの隠してたの?それはそれでそんな豹くんも大好きだけども豹くんの顔見る限りそういうのではなさそうだし。


全くもって意味がわからない…こんなに豹くんのことがわからないと思ったの初めてだ!


困惑に染まるわたしの手を豹くんが取り、その綺麗な指でわたしの指に触れる。薬指にはめられたそれにわたしの顔面は困惑から驚愕に変わった。


目を見開き口をあんぐりと開けたまま静止。カクカクとぎこちない動きで豹くんを見上げると特にいつもと変わっていない表情があり「え、見間違い?」と再び視線を下げて夢でも幻でも見間違いでもないことを確認。



「ひょ、ひょうくん、これ……」


「そろそろいいだろ。挨拶は次の休みにでも行こう」



あっさりとした発言に「そうじゃなくて!」と言いたくなったけどさりげない返事の中に答えがあって、嬉しくて嬉しくてたまらなくなって止まったはずの涙が溢れてきた。


ぎゅうっと指輪のはめられた手を包むように握って豹くんに体を預けて胸元に頰を寄せた。



「ひょっ、くっ…」


「ん?」


「ひっく、うれ、うれしいぃぃ、豹くん大好きいぃ……!」


「ん、」



いつもと変わらない返事だったけど、その声はほんのりと優しく甘く聞こえた。





fin



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