クリスマスのお話
拒否されるような嫌な感じはなかったのでパァっと顔を輝かす。
豹くんのことを周りの人は冷めてるとか無愛想とか言う人もいるけど、なんだかんだとわたしのお世話をしてくれたりお願いも聞いてくれたり、とっても優しい人だと思う。
うーん、なんていうか人よりもちょっとだけわかりにくいってだけなんだよ。本当はすっごく優しいのに。だってほら、
「仕事あるから夜になるがいいか」
面倒そうな顔もしないでわたしに付き合ってくれるもん。
「全然おーけー、ノープロブレムです!豹くんありがとーっ」
立ち上がった豹くんにぴったりと抱きつくと少し驚いたみたいだけど頭をぽんぽんと撫でてくれる。
そんな豹くんの手のひらがあたたかくて優しくて、嬉しさからニッコリと笑みを浮かべる。
無表情にも見えるだろうその瞳は穏やかで静かな海みたい。やっぱり豹くんはサファイアだな。
「ところで豹くん」
「ん?」
「こほん、実はもう一つ提案があります」
「ん、」
「えへへ、一緒に帰ろ?」
仕事終わったよね?と首を傾げれば豹くんは分かったというように微かに表情を緩めた。