偶然は運命的で必然的だった
「芹花ちゃんてけっこう人見知りするの?」

階段を登ってる途中。

「え!あ、いや…」

「びっくりしちゃったかぁ。
私は日向と同じクラスの如月彩。
日向はね学級委員長してて私は書記してるの」

うん知ってるよ。
だって私去年学級委員になって日向先輩の姿見てたもん。

その先輩がまた私のほうに振り返った時わかった。
彩先輩は私が高校1年生の時に見た先輩の特等席に乗っていた人だ。

「あの私のことどうして知ってるんですか?」

「だって日向がよく話すんだよ。自慢げにさぁ。
かわいい後輩がいるんだって。」

やっぱり私は日向先輩にとって後輩でしかないんだ

「あえ?なんで落ち込むの?」

「え?いや、落ち込んでいないですよ」

「でも日向言わないけど多分芹花ちゃんのこと好きだよ」

「そんなわけ……ないです」

「なんで見ててわかるよ。
少し顔赤らめてでもうれしそうに話すあの姿を見てたら
あぁ、芹花ちゃんのこと好きなんだなぁって。」

先輩は面白そうに言った。

そんなわけないよ。
あんなかっこいい人にこんな私が似合うわけないもん。

屋上の扉は開いてた。
彩先輩が立つ後ろからそっと覗いてみたら…

そこには狐夏先輩と楽しそうに話す美夏ちんがいた。

なんで?
だって私今日日向先輩と一緒にご飯食べるって言ったのに…。

なんで?

全然いま起きてることが理解できない
私はそこから動けない。

彩先輩が扉をバンッって開けて

「日向何してんの」

私は怖い彩先輩と気まずいその空気を見ていた。

「彩…芹花ちゃん…」

日向先輩は彩先輩のことを呼び捨てで呼んだ。

「いや…ごめんなさい」

私は全速力でその場から逃げ出した。

「日向お前女を泣かせるなんて最低だよ」

そんな彩先輩の低い声も聞こえた。

私はあふれ出す涙を伝うこともできずに
ただただ自分の教室のある校舎の裏庭に逃げるしかできなかった。
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