想いはトクベツよ!
シエナは高校1年の夏休みにクラスの友人たちとバス旅行に出かけたのだった。
西岡亨はクラス委員でシエナのボーイフレンドだった。
友人10人で中学の頃の恩師が定年退職し、キャンプ場を経営することになったので招待されたのだ。
毎日楽しく、林間学校のように楽しめたのだが、帰る頃になって悪天候に見舞われた。
シエナと西岡亨以外は、早朝に家族が個々に迎えにきて自家用車で帰っていったのだが、シエナと亨はすぐに迎えが来ないこともあって昼からのバスでいっしょに帰ることになった。
そして乗ったバスが下りの道のりを走っていたときに、急な落雷によって木がバスの前に倒れてきてバスが横転した。
放り投げられるようにしてシエナはバスの窓から飛び出したが、木の枝にカーディガンがひっかかり奇跡的に地面にたたきつけられることはなかったのだった。
ちょうどその頃、貴樹は仕事を覚える時期で迎えにいけないことを気にしたが、貴樹のかわりに司がシエナを宿舎に迎えにいくことになった。
司は会社の無線でバスが事故にあったことを途中知って、それまで乗ってきた自分の車を置いて、地元の青年団のバイクを借りて事故現場へと向かった。
そこで道の路肩の木に引っかかっているシエナを見つけるとシエナを抱えなおした。
「と、とおるくん・・・。」
「ん?友達もいるのかい。」
司がバスの回りを見回すと、血まみれの西岡亨が何とか顔をあげようとしていた。
「君っ!!大丈夫か?ひどいけがだ・・・でも・・・俺はバイクだし。
困ったな・・・。」
「シエナを・・・病院に・・・僕は大丈夫だか・・ら・・・。」
「しかし、君の方が・・・!!」
「シエナを誘ったのは僕だから。だから・・・いってください。お願い・・・お願い・・・しま・・・」
「わかった。がんばるんだ!!すぐ救急隊にきてもらう。」
司はシエナの体を自分にロープでくくり付けるようにしてヘルメットをかぶせると地元の病院まで走った。
麓の病院が見えたそのとき・・・事故現場で爆発音が起こった。
「あっ!!くそっ」
シエナが目を覚ましたとき、貴樹もナスノもつらそうな表情をしていた。
西岡亨とバスに乗っていた3人が死亡したと聞かされた。
爆発によって救助できるはずの人たちが消えてしまったのだ。
シエナはあのとき、自分が亨をバスから離すことを考えていれば・・・と思い、司にどうして亨を運び出してくれなかったのかと詰め寄った。
司はシエナの意識が途切れ途切れだったことに頭を打っていたら?と考え、頭の中がシエナの心配だけでいっぱいだったから亨をバスから遠ざけるまで気がまわらなかった。
亨が自分よりもシエナを病院に連れていってほしいと頼まれて、その通りにした。
それが精いっぱいだったのだ。
西岡亨はクラス委員でシエナのボーイフレンドだった。
友人10人で中学の頃の恩師が定年退職し、キャンプ場を経営することになったので招待されたのだ。
毎日楽しく、林間学校のように楽しめたのだが、帰る頃になって悪天候に見舞われた。
シエナと西岡亨以外は、早朝に家族が個々に迎えにきて自家用車で帰っていったのだが、シエナと亨はすぐに迎えが来ないこともあって昼からのバスでいっしょに帰ることになった。
そして乗ったバスが下りの道のりを走っていたときに、急な落雷によって木がバスの前に倒れてきてバスが横転した。
放り投げられるようにしてシエナはバスの窓から飛び出したが、木の枝にカーディガンがひっかかり奇跡的に地面にたたきつけられることはなかったのだった。
ちょうどその頃、貴樹は仕事を覚える時期で迎えにいけないことを気にしたが、貴樹のかわりに司がシエナを宿舎に迎えにいくことになった。
司は会社の無線でバスが事故にあったことを途中知って、それまで乗ってきた自分の車を置いて、地元の青年団のバイクを借りて事故現場へと向かった。
そこで道の路肩の木に引っかかっているシエナを見つけるとシエナを抱えなおした。
「と、とおるくん・・・。」
「ん?友達もいるのかい。」
司がバスの回りを見回すと、血まみれの西岡亨が何とか顔をあげようとしていた。
「君っ!!大丈夫か?ひどいけがだ・・・でも・・・俺はバイクだし。
困ったな・・・。」
「シエナを・・・病院に・・・僕は大丈夫だか・・ら・・・。」
「しかし、君の方が・・・!!」
「シエナを誘ったのは僕だから。だから・・・いってください。お願い・・・お願い・・・しま・・・」
「わかった。がんばるんだ!!すぐ救急隊にきてもらう。」
司はシエナの体を自分にロープでくくり付けるようにしてヘルメットをかぶせると地元の病院まで走った。
麓の病院が見えたそのとき・・・事故現場で爆発音が起こった。
「あっ!!くそっ」
シエナが目を覚ましたとき、貴樹もナスノもつらそうな表情をしていた。
西岡亨とバスに乗っていた3人が死亡したと聞かされた。
爆発によって救助できるはずの人たちが消えてしまったのだ。
シエナはあのとき、自分が亨をバスから離すことを考えていれば・・・と思い、司にどうして亨を運び出してくれなかったのかと詰め寄った。
司はシエナの意識が途切れ途切れだったことに頭を打っていたら?と考え、頭の中がシエナの心配だけでいっぱいだったから亨をバスから遠ざけるまで気がまわらなかった。
亨が自分よりもシエナを病院に連れていってほしいと頼まれて、その通りにした。
それが精いっぱいだったのだ。