想いはトクベツよ!
翌日からシエナは司のために朝食の用意、掃除、洗濯、そして学校、習い事と大忙しの日々を過ごし始めた。


「おいおい、ちょっと1日のスケジュールがすごいことになってないかい?
掃除と洗濯は使用人がいるだろう。」


「そんなことないわ。とても1日が充実してるの。
家事だってプライベートなとこは自分でやりたいだけ。
それより司のお仕事の方が忙しすぎて、倒れちゃうんじゃないの?」


「心配してくれるのかい?」


「あ、当たり前でしょ。顔色が悪いもの。」


「大丈夫さ。そうだ!シエナの都合が悪くなかったら明日の夜は外食しないか?
そして時間は短いけど、デートっぽいことをね。」


「いいの?私なんかで。」


「シエナと行きたいんだよ。」


「やった!行く。」


シエナはそんな自然な流れがうれしくて準備を始めるのだった。



「うわぁ・・・楽しいお店ね。
お店の人が気軽にたくさん話しかけてくれるわ。
私てっきり、もっと厳格でマナーにうるさいとこかと思ってたから・・・」


「食べ物が喉を通らなかったらどうしようって心配してた?」


「う・・・」


「図星だったようだね・・・。あはははは。
俺もいちおう実業家の端くれだからね。
厳格なマナーにうるさいレストランも行くけど、君の好みはこっちの方がいいってことくらいわかってるつもりなんだ。」


「そ、そう・・・。いろいろ調べられちゃってるのね。」


シエナは調子が狂っちゃう・・・と困惑していた。
司は親切にしてくれるときは親切だし、からかったりイジワルをすることがあったりと子ども扱いされていると思っていた。
しかし、今日はいつもの親切とは違うような気がする。


そして、シエナがそう感じたことがもっと決定的になることが起きた。
レストランを出て3分ほどしてシエナはお土産にもらった特製ロールケーキを店に忘れたことに気が付いた。
司が取りに走っていき、シエナはその場で待つことに。

シエナがひとりで司を待っていると、不良っぽい男子学生がシエナの手首をつかんでひっぱった。

「いやあぁああ!やめて!」

「ひとりぼっちにされたの?俺たちと遊びにいこうよ。」

「私は待ち合わせを・・・」

「こんな何もないところで待ち合わせなんて変だろうが。
あんたも家族に見放されたかわいそうな女の子ってとこだろう?」

「ちがいますから!私は・・・きゃあ!」


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