想いはトクベツよ!
シエナはまだ意識がはっきりしないところがあるのか、ソファから立ち上がろうとして倒れそうになった。

あわてて司はシエナの体を支えると少し驚いたような表情を浮かべた。


(夢じゃなかったんだな。傷がまだ残っていたとは・・・)

「うん、ここから取り直しってことで始めようか。
俺は金や会社のためだけに結婚しようと思ったんじゃないからね。
じゃ、テイク2から。いいね、シエナ。」


「はぁ?ちょ、ちょっとぉ。」


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「やっと目覚めたね。俺にすべて任せてくれればいいから。」


「あ、あの。どうしても私、あなたの奥さんにならなきゃいけなんでしょうか?」


「うん、そうだね。
状況はわからないことだらけだと思うけれど、お兄さんや家を救うことには絶対なると思うから結婚した方がいいと思う。」


「高井さんは私でもいいんですか?」


「もちろん。ナスノさんより君の方がタイプみたいだ。」


「そう・・・あの・・・大学に入りそこなった娘でもいいの?」


「入りそこなったって?」


「受験日を間違えて、大学に入れなかったの。
あ・・・私おバカだから、そんな優秀な大学じゃないの。
理学療法士と栄養士の免許取りたかっただけだし・・・。」


「それだけなら、専門学校へ行くって手もあるけど・・・?
あ、そうか。君の家柄からすれば大学いっておかないと何かとうるさいとか?」


「そう、よくわかってるじゃない。
はっ・・・ごめんなさい。
私やっぱり、優秀な高井さんにはダメダメな奥さんだわ。
こんな結婚無理だって。」


「やってもみないであきらめるのか?
けど、もう坂梨の家には妹はいないんだろう?」


「そうだけど・・・司さんってすごく高学歴なんでしょう?
私が妻なんていったらバカにされちゃうし。」


「はははははっ。あはははは・・・面白いなぁ。君は。
俺が嫌だとは言わないんだね。」


「だって、初対面なのにいきなり嫌いだとは言えないわ。
少なくとも初対面にしては、いい人だと思ったもの。」


「いい人ってどうしてだい?」


「受験日を間違えたなんて・・・お兄ちゃんなら絶対バカを連発するわ。
それに、司さんの相手がお姉ちゃんになったのだって私はバカだからあわないと思ったはずよ。

なのに。なのに・・・あなたは私の方がタイプだなんて。
私が落ち込まないように、傷つけないように気遣ってくれてるんでしょう?」


「なっ・・・くっ・・・くくっ!
わははははは。そ、そうだね。君の考えだといい人になっちゃうね。
じゃ、君にはそのいい人に恥をかかせないでほしいと頼むよ。

そのかわり、俺は君の家を救うよ。
間違いなくね。絶対だ。
だから、これから結婚式に出てくれ。」


「わ、私でいいのなら。」


「よしっ!いこうか。」
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