想いはトクベツよ!
結局、シエナはわけがわからないままに結婚式に新婦としてウエディングドレス姿で会場に出た。


兄の貴樹はエスコートする相手を見て大声をあげた。


「ど、どうしておまえなんだ!!ナスノはどうした?」


「いないの。私に眠り薬を飲ませていなくなっちゃった。」


「なんだと!じゃ、どうしておまえが花嫁になってるんだよ。
司が承知するわけないだろ。」


「それがね・・・司さんは坂梨家の娘ならいいって。
私に登場するように言ったのは司さんなの。
思ったよりもいい人ね。」


「司は本当におまえと結婚するといったんだな。
おまえでいいと言ったんだな。」


「うん。どうしたの?
私じゃダメな理由でもあるの?」


「いや、おまえがいいならいいんだ。
幸せにしてもらえ。うんと幸せになるんだ。」


「なんかよくわからないけど、私が幸せそうな花嫁になればお兄ちゃんの会社も安泰なんだよね。
私たち兄妹が苦労しなくてよくなるってことなんだよね。」


「ああ、そうだ。(おまえの記憶がもどらなければ必ず幸せになれるさ。司はずっとおまえを・・・)」



急きょ、ナスノの名前だったところをすべてシエナに変更して結婚式は滞りなくすべて終了することとなった。


「さ、帰るぞ。ついてきなさい。」


「えっ?だって・・・結婚式は便宜上のことで、自宅へもどっていいんじゃ・・・ないんですか?
兄も今日は、結婚式をこなして新婚旅行っぽいものは別の日にするって言ってましたけど。」


「そんな夫婦いるわけないだろうが!
結婚したら夫の用意した家に住む・・・そのまえにハネムーンだろ?
旅行のしたくをするためにいったん家にもどるぞ。」


「だったら私も自宅にもどってしたくを・・・」


「おまえのしたくはうちの使用人たちが用意している。
そのままついてきなさい。」


「どうしてそうなるの?
私は逃げも隠れもしません!家にもどって用意を・・・」


「君の言葉は信じない。
逃げも隠れもしないだと・・・どの口がいってるんだか。
とにかく、俺が仕事に復帰するときまではいっしょに行動してもらう。
それができなければ、お兄さんの会社からは手を引かせてもらおう。」


「そ、そんなぁ。
わ、わかりました。高井さんについていけばいいんでしょ。」


「司だ。結婚したんだから、妻らしい態度をのぞむが・・・できないというなら。」


「ど、努力します・・・けど・・・あの・・・夜は・・・ベッドとかいきなりは無理です。
ここは譲れないです。
申し訳ないですが・・・それだけはまだ・・・私。」


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