想いはトクベツよ!
究極の惚れ薬?
さっきまで玄関だったのに、気が付けばどこかわからない島に到着していた。


「うそっ・・・ここどこよ!?」


「ここは南半球にあるうちの会社の所有する島だ。」


「まさか、ここでお仕事もするんですか?」


「仕事してどうする!まぁやろうと思えば、仕事する道具もそろってはいるんだが・・・ハネムーンできてるんだ。
のんびり島での生活を楽しもう。
これはスケジュール表だ。よく目を通しておきなさい。」


「はぁ?まるで遠足の予定を発表してる先生みたいじゃないですか。」


「そうだね。君うまいことをいう。はははは。
でも、ぶっちゃけた話、俺なかなか今時間が取れない人だから、こうなってしまったんだ。
すまない・・・。
近いうちに、仕事を部下に配分して自分の時間を作るようにするから機嫌なおしてくれないかな。
愛情は感じられないかもしれないけど、時間を共有する限りは楽しく過ごした方がお得だと思わないか?」


「そ、それはそうですねぇ・・・。
(そうだわ、私はこの人の奥さんとしての地位を確立しなければ、お兄ちゃんや社員の皆さんすべての幸せがなくなってしまうもの。)」


「じゃ、俺は残ってる仕事をあと30分で片付けてから釣りにいくので・・・適当に遊んでおいてくれ。」


「えっ・・・私のスケジュール見たら、これから自由時間になってて、お昼からはエステだのお昼寝だのって・・・こんなの嫌よ。
私、私も釣りにいくわ。」


「えっ!んーーーと、勝手にすればいい。」


「ええ。それと私用のパソコンもある?」


「部屋にすべてそろってるよ。」


「ありがと。じゃ、とりあえずここでいったん解散ね。」


「じゃ、あとでな。お昼には新鮮な魚をいっぱい食わせてやるから。」


「うん。」



シエナはすぐに自分用のパソコンを自分の使いいいように設定して、島の位置を確認した。

確認して愕然とした。

近くには陸地がない。自分は完全に隔離されてしまったんだ・・・と納得せざるを得なかった。


仕方なしに厨房にいくと、シェフが腕組みをして座っていた。


「どうされたのですか?」


「あっ、奥様。じつは旦那様が近隣の海に地元の漁船に乗り込んで釣りにお出かけになったのですが、漁場が今日の早朝竜巻が発生して魚が吹っ飛んでしまって、周りの海に落ちた魚も賊に取られてしまったと情報が。
これじゃ、昼食用の魚はあまり期待できませんし、何か仕入れておかないと・・・。」


「まぁ!物騒なのね。」


「いえ、日常は平和そのものです。
竜巻の通り道は海だけですし、だからこそ余計な敵が現れないともいえます。」


「とにかく私たちのお昼が心配ってことなのね。
で、シェフがどうしてそんな困った顔をしてるの?」


「旦那様が落ち込んで帰られたときに代替品も用意していなければ・・・私は。
奥様と初めてのご旅行できてくださったのに。」


「気にしなくていいわよ。ちょっとだけ時間をちょうだい。
私、ちょっと考えてみるから。」
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