想いはトクベツよ!
シエナは砂浜をしばらく歩きながら海を眺めていた。
と、そこに子どもたちが集まって楽しそうなことをしている。
興味をもったシエナは駆け寄ってのぞいてみた。


「わぁ!お魚いっぱいなのね。
これ、食べられるお魚でしょ?」


「あったりまえだ!俺はこの島一の漁師の息子だぞ。
船で出かけなくったって、この島の近くでだって釣りくらいできるさ。
今ならまだ潮が満ちてないから、ほらあの岩のとこに座って釣ればこのとおりだよ。」


「うわぁ!ねぇ。私にも釣れるかしら?」


「うん、まだ3時間くらいなら大丈夫だけど、お姉さん泳げるの?
あの岩までけっこうあるよ。」


「得意よ。あ、でもおだやかな海じゃないときびしいかなぁ。
プールでなら遠泳もかなりできる方だと思うんだけど。」


「それなら問題なしだ。
この海で慣れてる俺らとだったらいける。」


「いってくれるの?」


「ああ。お姉さん、旦那様の嫁さんなんだろ?
母ちゃんも奥様には親切にしろって言ってたから、おいら親切にするよ。」


「あなたいい子ね。
じゃ、スウェットスーツと救命具だけ用意してくるね。」


「へぇ、お姉さん偉いねぇ。無茶するヤツが多いのにけっこう考えてる。」


「あったりまえでしょ。年上の私があなたたちの足手まといなんかになったら、あなたたちの親御さんになんていえばいいのよ。
すぐもどるわ。」



シエナは10分もしないうちに子どもたちのところにもどると、釣りのできる岩場まで泳ぎ始めた。

あっというまに到着してシエナは漁師の子どもたちと釣りを楽しんで帰宅したのだった。



シェフはシエナから魚やエビをもらい、ニコニコ顔だった。


「奥様すごいですね。旦那様もびっくりなさいますよ。」


「あ、私が取ってきたっていうのは秘密にしてくれない?
きっと気を悪くすると思うんだぁ。
地元の子どもたちと岩場にいったなんて耳に入ったら、叱られそうな気がするしさ。」


「えっ、あんなとこまでいってきたんですかい?」


「うん。だって子どもたちは元気で楽しくて、腕がいいんですもの。
いっしょに私もやりたくなっちゃって。
泳ぎは得意だから、岩場までいってきちゃった。
あ、もちろん深いとこのは子どもたちに手伝ってもらったんだけどね。
お願い、秘密にして。
子どもたちが魚を分けてくれたことにしておいて。」


「奥様・・・いずればれますよ。」


「そうなっちゃったらもう、過去のことだし、私はこうやって元気にもどってるんだし。
大丈夫よ。」


「わかりました。じゃ、用意しておきますね。」


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