蘭蝶
『だってあの人は私をちゃんと愛していてくれたから…。

だからこそ言えなかった。』


嬉しそうにでも寂しそうに…


『私…最期の時までずっと考えてた。

私の身体が弱くなかったらとかガンにならなかったらって。

そんな事考えてもしょうがなかったのに思わずにはいられなかった…』


悔しそうに話すママ…


『だって私の身体が弱くなかったら紅葉や伶斗と遊ぶ事だって出来た。

私がガンにならなかったら郁弥さんとだってもっといられた…っ』


「ママ…」


『バカよね。自分で決断して郁弥さんや紅葉達と離れたくせに…最期に後悔するなんて…』


違うよという意味を込めてフルフルと首を振る


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