俺様副社長のとろ甘な業務命令


階段を登りきった先に現れたのは、ここが日本ということを疑ってしまいそうになるオシャレなレストランだった。

地中海近辺に見られる白を基調とした街並みにありそうな建物は、海が一望できる見晴らしのいい開放的な造りになっている。

中に入ると、天井の高いダイニングキッチンと、その先にウッドデッキの席が広がっていた。


「高宮さん、いらっしゃいませ、お待ちしていました」


何やら知り合いなのか、出てきたスーツの男性が副社長に挨拶をする。

そのまま促されて、海のよく見える一番奥の広い席へと案内された。


「あの、副社長、ここは」

「知り合いの店なんだ。近くに来たら寄ってほしいと言われてたから」

「そうなんですか……」

「一人で来るような場所でもないからな」

「素敵なお店ですね……海がよく見えるし」

「元々は人の別荘だった場所らしい。そこを買い取って増築したんだ」

「別荘……すごい」

「確か……結構有名な作家だって聞いた気がするけど」


こんな素敵なロケーションのお店、今まで来たことがなかった。

店内を見渡すと、席について食事をしているどの人も上品な一人たちばかりに見える。

さっき駐車場で高級車ばかりがならんでいたことを思い出した。


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