俺様副社長のとろ甘な業務命令
キスで落ちないルージュの検証
週が明けて、また忙しい日々が始まった。
今日はお昼から、CM制作会社のプレゼンの予定が入っている。
先日あった打ち合わせを経て、いよいよ練ってもらったCMプランを見ることになる。
徐々に人が増えてきたオフィス内で、入れてきたカフェラテを手に自分のデスクにつく。
起動させておいたパソコンはスクリーンセイバーの画面になっていて、早速受信メールのチェックを始める。
最近は外部とのやり取りも多いから、大事なものを読み落さないように普段より入念なチェックをしている。
「ちょっと、ゆずー」
同じく横でパソコンに向かっていた美香子が、突然椅子ごとこっちに滑ってくる。
画面からやってきた美香子に目を向けると、可愛い顔でムスッとしたような表情を作っていた。
「何? どしたの」
「どーしたじゃないよ。誕生日に送ったお祝いメッセージ、華麗に既読スルーしたでしょ」
「えっ、嘘! 返したつもりだったんだけど」
「来てませんー。もう、その見て満足しちゃうの直してよねー。何回目よ、既読スルー」
「ごめんごめん……ほんとごめん」
「別にいいけどさ。返すの忘れるほどの誕生日だったってことでしょ〜?」
「え……いや、特には」
「はぁぁ? 何、まさか一人でぐーたらしてたとかじゃないよね?!」
「あー……まぁ、そんなとこかな」