俺様副社長のとろ甘な業務命令


話がややこしくなってきたなーと思っていた時、ナイスタイミングで笹野先輩が話を割ってくれた。

その手には段ボールの箱。

思わず椅子を立ち上がる。


「ありがとうございます!」

「あ、新商品だ! 稼働早まったって聞いたけど、もう届いたんだね」


待ちに待った、完成した新商品のサンプルが朝一で工場から送られてきて一気にテンションが上がる。

周囲にいた同僚たちも続々と集まってきて、みんなの注目の中、段ボールの封を切った。


「あっ、可愛い!」


美香子の声を皮切りに、みんなから「おー!」と歓声が上がる。

梱包のクッション材の中から出てきたのは、アイシャドウとチークのパレットに、ネイルカラーとルージュの各色。

見せて見せてとみんなが手に取る。


「ちょっとゆず、デザインかなり可愛いじゃん! こだわった甲斐あったね」

「うん、予想以上の出来かも……」


ブランドカラーのキラキラとしたシルバーの外見はそのままに、今回の新商品は若い子をターゲットにした商品ということで、可愛らしくプリンセスをイメージにしたモデルになっている。

ティアラやリボンをデザインしたボディにはラインストーンの装飾を施し、上品な中にも特別感を前面に出した。

バッグやポーチに入っていたらウキウキするような、気分の上がるデザイン。

そんな、イメージしていた物にしっかりと仕上がっていた。


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