俺様副社長のとろ甘な業務命令


「悪いな、帰るところに呼びつけて」

「いえ、大丈夫です」


部屋の奥へと進みながら、思い付いたように口を開く。


「あの、週末は……ありがとうございました」


今日出社してから、なかなか二人きりになるタイミングがなかった。

改めてお礼を言おうと思いながら、やっとこの時間になって言うことができる。

副社長はやっぱり大したこともなさそうに「ああ、気にするな」とそれだけを返事した。


デスクのすぐ目の前まで行くと、今日のCM制作会社から出された企画コンテや、それに関連する資料が広げられていた。


「見直して変更した方がいい部分はあったか」

「あ、はい。何箇所か気になるところはありました」

「じゃあ、これも合わせて返事しておいてほしい」

「わかりました」


手渡された資料を受け取りながら、デスクの隅に置かれていた物に目が留まる。

今朝オフィスにも届いた新商品の数々がそこに並べられていた。

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