俺様副社長のとろ甘な業務命令


「えっ、あの」


軽々と私をお姫様抱っこしたまま副社長が向かったのは、歓迎会の翌朝目覚めたあの寝室の広いベッド。

ふわりと体が降ろされると、さっきから凄い勢いで鳴っている鼓動が最高潮に音を響かせる。

スーツの上着を脱いだ副社長はベッドの縁に腰を掛けると、動けずにいる私に目を向けた。


「そういえば……ここで目覚めた朝のこと、知りたがってたよな?」

「えっ……」


記憶のない、あの歓迎会の後のこと。

聞き出そうとしてもはっきりと教えてもらえず、毎回気まずさに耐えられなくなって追求するのを諦めた。

それを今更この状況で聞かされるのは、心臓が持たないに決まっている。


「あっ、あの日のことは、もう」

「何も無かった」

「……え?」

「お前の反応が面白いから、微妙なこと言ってちょっとからかってたけど……あの日、お前はここで爆睡してただけだから」

「で、でも、あの時……は、激しかったとかって」


つい気にしていたことを口にしたものの、恥ずかしすぎて語尾がごにょごにょと消えていく。

そんな私を副社長はプッと笑った。

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