俺様副社長のとろ甘な業務命令


「あぁ、それは酔っ払い具合がな。何か勘違いして、凄い想像してたみたいだったけど」

「だ、だって! じゃあ……ほんとに、何も……」

「酔って寝てる奴に手出すほど、がっついてない。でも今日は……」

「っ!?」


スプリングが揺れて、真上に端正な顔が覗き込む。


「……寝かせるつもりないから」


放り出した手に副社長の手が重なり指が絡むと、体中が熱をあげて火照るのを感じた。


こうして綺麗な目に真っ直ぐ見つめられていることが、未だに現実感に欠けている。

でも緊張とは裏腹に、気付いたばかりの好きだという気持ちが増していくのを感じていた。


重ねられた手をそっと握り返す。

私の無言の返事に、副社長は初めて見るような柔らかい微笑を浮かべて顔を近付けた。


三度目の口付けは、愛おしむような優しさに溢れていた。

次第に深くなっていくキスにクラクラしながら、絡めた指にギュッと力を込める。

唇を離した副社長は、息が上がる私を見つめて満足そうに微笑んだ。


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