俺様副社長のとろ甘な業務命令
Yesと言うまで離さない
窮屈な通勤電車に揺られ、人波に乗って飛び出すいつもの改札口。
駅を出て毎朝、自分が働くビルを見上げる。
朝日に照らされて、キラキラと反射する高層ビルのガラス窓。
今日は目に映るその光が切なく目に映った。
今朝目覚めると、すでに副社長の姿は見当たらなかった。
残されていたのは、達筆な字で綴られた置き手紙と、返したはずのカードキー。
手紙には、カードキーは私が持ったままで構わないと書かれていた。
本当に行ってしまったのだと、一人目覚めた広すぎる部屋で切なさが込み上げた。
そして、しんと静まり返る部屋を出たのは、ほんの数時間前のこと。
昨日のままの衣服を着替えに帰り、再び出社する通勤電車へと乗り込んだ。