俺様副社長のとろ甘な業務命令
いつの間にか眠りについてしまったけど、微睡みの中で確かに副社長の温もりを感じていた。
心地良くて安心して、いつまでもその腕の中にいたいと切に願ったけれど、やっぱりその思いは叶わなかった。
覚悟していたはずなのに、やっぱり心に開いてしまった穴は大きすぎて、簡単には埋まりそうにない。
離れることを恐れて求めた副社長の温もりは、逆に私を切なさで押し潰そうとしていた。
それでもいつもの朝はやってくる。
仕事に追われる、目まぐるしい一日が今日もまた始まる。
数時間前に出たエントランスを通り、混み合ういつものエレベーターに乗り込む。
普段より少し遅い出社をしたオフィスは、今日も毎朝見る光景が広がっていた。
でも、大きく違うこと。
そこにはもう、副社長の姿はない。