俺様副社長のとろ甘な業務命令
「なっ、何言って!」
「あの斎原が、『離れたくない』って言ったんだから、かなりレアだろ」
そのために言ってくれなかったの?!という気持ちと、恥ずかしさも手伝って、あからさまに怒った不機嫌な顔になってしまう。
フイッと顔を逸らした私を、副社長は「怒るなよ」とクスリと笑った。
「私が……どんな気持ちだったか、知らないからそんなこと言えるんですね。酷すぎます、ドSもいいとこですよ!」
怒る気持ちももちろんあるけれど、安堵から涙が込み上げてくる。
不貞腐れて掴まれている手を引き剥がそうとすると、身を屈めた副社長が不意に唇を重ね合わせてきた。
誤魔化された、と思いつつも甘いキスに応じてしまう。
「ずるい……です」
「ごめん。寂しい思いさせたなら、悪かった」
そんな風に謝られてしまえば、もう文句も言えなくなってしまう。
俯く私を副社長はまた自分の腕の中に収める。
宥めるように髪をそっと撫でながら「ごめん」とまた謝った。