俺様副社長のとろ甘な業務命令
エリート副社長の本性
意識が戻ったと同時に襲ってきたのは、頭が重いという不快感だった。
薄っすら目を開ければ目蓋もだるく、視界がはっきりしない。
ぼやける目に映った高い天井をしばらくぼうっと眺めていた。
「……えっ!?」
ちょっと待て、ここはどこ!?
どうしてベッドで寝ている?
思わずガバッと体を起こしていた。
まだ働かない思考をフル回転させて必死に考える。
さっきまで歓迎会の席にいて、それで、何か居たたまれない雰囲気だからって日本酒飲みだして、それで、それで……。
おかしなことに、その後からの記憶がすっぽりとない。
そして、今自分がいるこの広いベッド。
いくら頭が働かなくても、自分の家のベッドではないことがわかる。
じゃあどこ!?
「やっとお目覚めか……」
聞こえてきた声に更に一気に目が覚める。
声の先にバッと顔を向けると、信じられない光景が目に飛び込んできた。
「な、なっ……」
声もまともに出せなかった。
どうして?
何で?
頭の中を行き来するのはそればかり。
天井までの大きなガラス窓の前、黒い革貼りのソファーに長い脚を組んで座るリラックスした姿。
窓からの陽が逆光になって顔は見えにくいけど、そのスタイルのいいシルエットは見間違えるはずもない。
金縛りにあってしまったかの私に向かって、立ち上がった影が近付いてくる。
はっきりとその姿を目にして息を呑んだ。