俺様副社長のとろ甘な業務命令
「な、何で……何で副社長が」
「何でって、何が」
「いや、ここは……ここはどこ!?」
「……呆れるな。まさか、覚えてないのか?」
「えっ?」
気が動転しているせいかもしれないけれど、
思い出したくても本当に何も思い出せない。
……というか、窓の外が明るい。
朝っていうこと!?
慌てて腕を出し時間を確認しようとする。
が、着けていたはずの腕時計がない。
振り返ってみると、ベッドのサイドテーブルに腕時計と着けていたピアスがまとめて置かれていた。
「もう朝だよ」
「えっ、朝って、でも」
「見事に爆睡だったな」
「爆睡……あの、だからここは」
「うちだけど」
起き上がった私のすぐ前まで来た副社長は、スーツの上着を着る前のシャツにベスト、ネクタイを締めた格好だった。
でも、すでに昨日と違うスーツを着ていることに気付く。
うちって……。
副社長の家ってこと!?
いや、だって、歓迎会の席にいたはずなのに、気が付いたら副社長の家って、どうしたらそういう展開になっちゃうわけ!?
硬直したままの私に構わず、副社長は私が座るすぐ横に腰を下ろす。
ベッドのスプリングが跳ねて、無意識に掛かっていたシーツを引き寄せた。