俺様副社長のとろ甘な業務命令
怒涛の一日を終え、やっと今日を終えられる。
部屋に戻ってホッとすると、そのままベッドに入ってしまおうかという誘惑に負けそうになった。
倒れ込んだら間違いなく起き上がれなくなりそうで、ぐっと堪えて何となくテレビのスイッチを入れてみる。
映し出されたのは国民的アイドルグループの人気バラエティー番組だった。
ぼんやりと画面を眺めながら浴室に向かう。
入浴は普段はシャワーを浴びるだけだけど、今日は熱いお風呂にゆっくり浸かろうと思い、湯船にお湯を溜め始める。
せっかくだから、この間期間限定に惹かれて買ったバスボムを入れようと、部屋に戻って引き出しを開けた時だった。
無音の部屋に着信音が鳴り始める。
バッグに入れたままだったスマホを取り出すと、画面には『商品開発部』の文字。
その表示に心臓がドキッと嫌な音を立てた。
時刻はもう二十一時前。
こんな時間に会社の番号から着信なんて、嫌な予感しかしない。
何かトラブルだろうか?
でも、わざわざこの電話にかけてくるなんて、ただ事じゃない気がする。
恐る恐る通話をタップした。
「はい、斎原です。お疲れ様です。はい……えっ、」