俺様副社長のとろ甘な業務命令
乱される心
今日みたいな日を厄日というんだろう。
さっき颯ちゃんと帰ってきた道を小走りで駅へと向かいながら、胸の辺りが圧迫されるような苦しさに襲われていた。
悲しいわけじゃない。
なのに、今にも泣き出してしまいそうだった。
頑張っているはずなのに、何もかも上手くいかない。
そんな思いで胸が詰まる。
『デザイン案、まだなの? 来てるよね?』
電話に出ると、開発部の山城部長の不機嫌な声。
チェックをして開発部にも確かに添付して送ったはずのデザイン案のファイル。
それが届いていないという。
まさか、そんな思いで家を飛び出したのは今さっきのことだ。