俺様副社長のとろ甘な業務命令
早く帰りたい気持ちがあったせいか、いつもする確認作業を省いてしまったことは確かだった。
こんなことなら、数分の手抜きなんかするんじゃなかった。
倍……いや、何十倍にもなって、しかも人に迷惑までかけて返ってくるなんて。
デザイン案を含めた最終調整会議が明日行われる。
その前に開発部は残業をするほど忙しいのだと思う。
私のミスで更にその時間を延ばしてしまっていると思うと、身が縮む思いになっていた。
再び戻ったビルのエントランスは未だ賑わいを見せているけど、仕事を終えて帰る様子の人より余暇を楽しんだように見える人たちが目に留まる。
有意義な時間を過ごしたであろう浮かれた姿を横目に、ゲートを抜けてエレベーターを待つ。
誰も乗っていないエレベーターに乗り込み、十二階のオフィスを目指した。