俺様副社長のとろ甘な業務命令
また、やってしまった。
そう思わずにはいられなかった。
今度は仕事上の自分のミスの尻拭いを副社長にさせてしまった。
初対面でのこと、歓迎会でのこと。
加えて他部署に迷惑を掛けたこのミス。
きっと、今度こそ、どうしようもない奴だと呆れてるに違いない。
謝る言葉もすんなり出てこないくらいのダメージを受ける。
「わざわざ戻ってきたのか、こんな時間に」
電源の落ちたパソコン画面から顔を上げ、副社長は真っ直ぐ私を見つめる。
その視線に辛くなり、目を伏せる代わりに頭を下げていた。
「本当に、すみませんでした。私、」
「何で連絡を入れない」
「えっ、それは」
「俺に連絡すれば、お前がわざわざ来なくても大丈夫だっただろ」
「そんなこと、できないです。私のミスを副社長にフォローしてもらうなんて、そんな」
あからさまに「ハァ」と溜め息をつかれ、その先の言葉を失う。
切れ長の目が睨むように鋭く私を捉え、その迫力に肩を竦めた。
「肩書きなんて関係ないだろ」
「え……?」
「一緒に仕事してるんだから、俺が斎原のミスをフォローするのは当たり前のことだって言ってんだ」