俺様副社長のとろ甘な業務命令



帰社した時間は、ちょうどお昼休みが始まった頃。


どういうわけか副社長とランチを共にすることになり、『B.C. square TOKYO』二階にある『Seattle's STYLE Coffee』に立ち寄った。


何でもいいと言われて、一番に思い付いたのがここのパンケーキだった。

久しぶりにあのクリームもりもりのが食べたい。

甘いものを欲するのは体が疲れているからかもしれない。


「ほんとにここでいいのか?」

「はい。ここのパンケーキが食べたくて」

「パンケーキね……女は好きだな、そういうのが」


全く興味がなさそうな様子で、副社長は掲げられているメニュー写真を眺めている。


「嫌いですか?」

「ああ、あまり得意ではないな。見てるだけで胸やけを起こしそうだ」


甘いの、苦手っぽいもんね。

コーヒーもブラック限定だって言ってたし……。


「でも気にするな。どれにする」

「ちょっと待ってください。もう少し悩みます」

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