俺様副社長のとろ甘な業務命令
結局、スコーンやサラダラップなど、テイクアウト可能なものを買い求め、お店を後にした。
パンケーキには有り付けなかったけど、副社長は一応お財布を手にしていた私を制してスマートにお会計を済ませてくれた。
「あの、さっきはすみませんでした。友達にバッタリ会っちゃって」
オフィスに戻るエレベーターに乗り込むとちょうど無人で、さっき颯ちゃんと立話になってしまったことを謝る。
私のことを話すのもかなり盛ってくれてたし、きっと気を使わせてしまったに違いない。
「幼馴染みって言ってたけど、彼氏か」
「えっ?! ち、違います! 何でそうなるんですか」
考えもしなかった質問にギョッとする。
この人はいきなり何を言い出すんだ。
「即答だな」
「だって、即答するくらい違うからですよ」
「ふ〜ん」
いや、ふ〜んて何?!
「それにしても、幼馴染み同士が同じ場所で働いてるなんて、偶然のことじゃないだろ」
「いや、それが偶然なんですよ。久しぶりにこの場所で会ったら、上の法律事務所に入社したって聞いて、私もびっくりしたんですけど」
「まぁ、偶然って思ってるのはお前の方だけかもしれないな」
「え? それどういう意味ですか」
「さぁな」
エレベーターがオフィスの階に到着し、副社長はさっさと先に降りていってしまう。
去り際、意味深な笑みを浮かべて私を一瞥していった。