俺様副社長のとろ甘な業務命令
「ですが、話題性と意外性でいくなら、皆さんにも好感触の樋口朱里でいいかと思います。佐田アヴェリーは、昨年度の他社製品のイメージモデルを務めていたのもあるので、差別化を図るのは必要かと」
副社長の話に、それぞれが納得したような身振りを見せていた。
会議が始まり早い段階で、樋口朱里への決定が濃厚になっていく。
「では、全員一致で、樋口朱里起用で異論はないかしら。副社長、いかがですか?」
「はい、いいんじゃないでしょうか」
「じゃあ決まりね。斎原、早速オファーかけてみて」
「わかりました」
話し合いは難航せず、全員一致で樋口朱里へのオファーをかけることで会議は無事終了。
あとは、先方である樋口朱里側がオファーを受けてくれるかで大方発売への目処がついてくる。
商品がいよいよ形となり、イメージモデルが決まれば、ここからが広報宣伝部としての仕事の本番。
宣伝媒体の撮影や、プレリリース代行会社への依頼、新商品発売イベントの各種手配など、スケジュールは更に多忙を極めていく。
会議室からオフィスへと戻り、すぐに樋口朱里の所属事務所へと今回のオファーについての連絡を入れた。