俺様副社長のとろ甘な業務命令
誕生日の休日出勤
はっきりしない意識の中で、スマホの着信がけたたましく鳴り続けていた。
手探りで音の主を捕まえる。
まだまだ起きる気がない目を無理矢理開けると、部屋の中はまだ薄暗かった。
「一体何時だと思ってるのよ……」
布団にもぐったまま、早く出ろと言わんばかりのスマホを耳に当てる。
「はい……」
「おはよう」
「……。え、あ」
聞こえてきた声に一気に目が覚める。
枕元の目覚ましを掴んで時間を見ると、まだ早朝の六時過ぎだった。
「やっと起きたか」
「副社長……何ですか、こんな時間に。今日、お休みですよ?」
「呼び出しだ。今から来い」
「えっ、今からって」
「始発はもう走り出した時間だろ。場所は、一度来てるからわかるよな?」
「え、意味わかんないんですけど、休日出勤ってことですか?」
「まぁ、そういうことでもいい。待たせるなよ」
「そういうことでもいいって、あ、ちょっと」