俺様副社長のとろ甘な業務命令
何が何だかわからないうちに通話は一方的に終了していた。
意味のわからなさにバフッと枕に顔面を沈める。
今週も多忙を極めた一週間だった。
やっとぐーたらできる週末がやってきたと、昨日は帰ってから撮りためていたドラマなんかを観て寝たのは深夜二時近くだった。
今日は昼近くまでは寝てようと思ったのに、何で……。
「今日に限って、何でよ……」
十二月三日。
今日は、私の二十六回目の誕生日だ。
誕生日だからといって、これと言って予定があるわけじゃない。
我ながら寂しいアラサーだけど、何が悲しくて誕生日に呼び出されて休日出勤しなくちゃいけないのか。
そう思っても、嘘一つついて行けませんと言う勇気もない自分が虚しい。
まだベッドから出たくない気持ちを引きずりながら、這うようにして洗面台に向かった。