光と雪
優しさ、温かさ、君の笑顔
語り終えた頃には空は朝日を迎え入れる準備をしていた。
俯いていた顔を上げ光里を見た。
話している時ずっと下を見ていたから気付かなかった。
光里がずっと僕の顔を見ながら聞いてくれていたことに…そして
温かな涙を流してくれていたことに…
それを拭き取らず綺麗に頬をつたらせていたのだろうか
布団の上には無数の円い濡れた跡がある。
光里は何も答えなかった。
だから僕も何も言わなかった。
静かな空気が苦痛ではなくて
…癒されてくような感じがした。
変に同情され言葉をかけられるよりいい。
「雪斗は…」
鼻声で光里は
「…逃げ出したかったんだね…でも逃げ道がなくて、苦しんでもがいたんだよね。…もう大丈夫だよ…私がいるから」
「ねぇ…抱き締めていい?」
頷く間もなくその小さな肩を引き寄せた。
こんな場面で不謹慎かもしれない。
けど…嬉しかった。