間接キスを許すのは。
間接キスを許すのは。
期間限定! と鮮やかな色の文字が躍る中、視線をすべらせる。
どの値段も少しずつ高いと感じるんだけど、思わず手を伸ばしてしまう。
ベリーのチョコレートを手にしたところで、一緒にいた友だちに声をかけられた。
「ココ、そのチョコにするの?」
「うん。涼華は?」
「わたしは肉まん」
ふわふわと幸せそうな笑みを浮かべているのは、あたし、天野 心愛(あまの ここあ)の友だちの白井 涼華(しらい すずか)。
天然パーマのふたつ結びで女の子らしい見た目なのに、これでお肉が大好きなんだ。
ダイエット中だから、今日はいつものからあげはやめておくらしい。
それは果たしてダイエットと言えるのかな? と思いつつ、触れずにいる。
しばらくして、他の友だち……男子3人も顔をのぞかせて、一言二言ほど言葉を交わす。
各々の好きなものを手にレジに並んだ。
高校2年生のあたしたちは、いつも一緒に過ごしている。
教室移動も、お昼ご飯も、下校もしょっちゅうだし、試験勉強だって助けあって。
今年から親しくなった茶髪の森本 幹斗(もりもと みきと)を除いて、1年生の時から男女仲のいいクラスの雰囲気からこんな組みあわせになっているんだ。
今日もいつものごとくみんなで学校を出たんだけど、涼華の「おなか空いたね」という言葉から通学路のコンビニに寄り道していた。