『 』
「はい」
そう返事をすると、
「あの、大神美樹さんっていますか?」
「あたしのことですけど」
「そうでしたか。あたし、1年生の江口美恵と言います。えっと、単刀直入に聞きますね。三津谷先輩と付き合ってないのに一緒に暮らしてるって本当ですか?」
「はい」
「付き合ってないんですよね?」
「付き合ってないです」
「ならよかったです」
「え?」
「え?ってなんですか?」
「よかったってどういうことですか?」
「あ、いえ。先輩に関係ないですよ」
「えっと」
「察しが悪いですね。まぁいいです。失礼します。あ、そうそう。噂ですけど、大神先輩が三津谷先輩のお弁当作ってるってことですけど、明日からお弁当作らなくていいですよ」
そう言うと、江口さんは保健室から出て行った。
すると、有村さんは
「噂は本当だったんだ」
と言った。
「噂…噂。あ、翔太に告白しようとしてるって…」
「あの子の事だったんだ」
「大神さん、三津谷くんのこと、どう思ってるの?」
「どうって。友達です」
「あーーー、もぅ。三津谷くん、あの子に奪われちゃうよ?」
「で、でも、さっき、有村さんは、フるかもって」
「『かも』だよ。しかも、2分の1の確率ね」
「っ」
「しかも、お弁当作らなくていいって、軽く先制布告だからね」
「先制布告?」
「大神さんの鈍感。天然」
突然罵られた…。
「いい?大神さんがお弁当作らなくていいって言われたってことは?」
< 58 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop