『 』
6章〜Kana side〜
あの子ドンマイだな。最初はそう思っていた。
日に日に見てる内に、嫌な顔も困った顔も何一つ変えないし、寧ろ、うんざりしてる顔だということに気がついた。
「あの子、なんでやめての言葉も出ないんだろうね」
あたしとよく話してる子がそう言った。
「多分、言っても、1軍の人達が面白がるだけだからだと思う」
そうボソッと言った。
「それでも、やめて欲しいことはやめてって言わなきゃ」
「それで、やめると思う?」
「いや、あたしだったらやめてあげないな」
「それと同じこと」
「じゃ、アレが最善策なのか」
「そうだと思う」
「クラスの子達は先生に告げ口しないね。クラスだけじゃなくて、学年もか」
「みんな手出し出来ないんだと思う」
「けど、誰かしら言っても」
「ソレだな」
「え」
「みんな誰かしら言うだろうって思ってるから言わないんだよ」
「他力本願?」
「本来の意味はちょっと違うけど、世間一般的にはその言葉が1番合ってると思う」
「ふーん」
「でも、あの子達そのうち自爆するよ」
「はい?」
「なんでもないよ」
そして、しばらく経ったある日のこと。
やっぱりかという出来事が起きた。それは、あの子達の自爆だった。
理由は、あの子達が話してる内容を先生が聞いたからだと言う。
「佳奈の言った通りだね」
「え」
「あの子達自爆するよって言ってたじゃん」
「あぁ、よく覚えてたね」
「まぁね。で、なんで自爆するって分かったの?」
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