この空の下で
小山内「なんしてんだ。こんなとこでフリーズして」
伊織「や、別に…何ってわけじゃ…」
小山内「???、あ、そだ。お前も挨拶しとけ」
伊織「挨拶??」
小山内「ちょーど今日ここで会う約束してたんだ、俺の大学の時の友達」
伊織「店長の?私、関係ないですよ?」
小山内「うん、まぁな。いーよ、軽く挨拶するだけで」
だ、だから…なぜ…?
しかも誰と…??
小山内「あ、いるじゃん。--------、朔!」
え………、
「…ん?あぁ、亘」
ふわり、と微笑むその人に
もう一度見惚れたその瞬間が、彼との出会い。
「早かったな」
小山内「そ?待たせちゃ悪ぃかなって、ちょっと思ったから」
「ちょっととか言うなよ、だいぶ思って」
はは、と笑いあったあと、視線はゆっくりと私へ。
「そちらの方は?」
小山内「うちのスタッフです。」
伊織「は、はじめまして…。吉木伊織です」
そっと、顔を向ける。
「はじめまして、木瀬 朔(はじめ)です。」
これは…、なに?
トク、トク、トク …
明らかに早く動き出した心臓に
私の心はせわしなくなる。
気になった香りが
好きだと思った香りが、
この人の香りだと気づくほど近付いた時
私は言葉では表せぬ感情を、確かに抱いた。
これが、わたしの人生を大きく変えた
木瀬さんとの出会い。
出会いは突然に、…でも必然に。
この 空 で。