この空の下で
書店スタッフは皆ここの事を空、と呼ぶ。
"空 行ってくるわ〜"
"空に溜まった本の回収行きます"
こんな会話が飛び交う。
その、通称 "空"。
今日も いつものように皆に空に行ってきますと告げた。
いつものようにお気に入りのお財布と、
携帯を手に持って、
ウィーン、という静かな音を立てて開いた
空への入り口に立った。
ふわり、コーヒーの香りではない香りが鼻をかすめた。
直感で、あぁ、好きな香りだななんて思ってた。
ふ、と目線を泳がせた先。
窓際の席に座って本を読む。
紺色のスーツ。
片手で本を持つ長い指。
綺麗な姿勢。
焦げ茶の少し癖のある髪。
午後の日差しに当てられて、光を帯びる。
なぜか、目が離せなかった。
うまくは言えないけど、
気になって仕方がなかった。
どんな、どんな人なんだろう…?
ぼーっと、その場に立ち尽くしていると、
小山内「お、吉木?邪魔なんだけど?」
伊織「えっ、うわっ、ごめんなさい」
同じように休憩に来た店長が私を見下ろした。
"空 行ってくるわ〜"
"空に溜まった本の回収行きます"
こんな会話が飛び交う。
その、通称 "空"。
今日も いつものように皆に空に行ってきますと告げた。
いつものようにお気に入りのお財布と、
携帯を手に持って、
ウィーン、という静かな音を立てて開いた
空への入り口に立った。
ふわり、コーヒーの香りではない香りが鼻をかすめた。
直感で、あぁ、好きな香りだななんて思ってた。
ふ、と目線を泳がせた先。
窓際の席に座って本を読む。
紺色のスーツ。
片手で本を持つ長い指。
綺麗な姿勢。
焦げ茶の少し癖のある髪。
午後の日差しに当てられて、光を帯びる。
なぜか、目が離せなかった。
うまくは言えないけど、
気になって仕方がなかった。
どんな、どんな人なんだろう…?
ぼーっと、その場に立ち尽くしていると、
小山内「お、吉木?邪魔なんだけど?」
伊織「えっ、うわっ、ごめんなさい」
同じように休憩に来た店長が私を見下ろした。