私の彼氏は超肉食系

1時間ドラマ「無表情な女医」

女優『一条ゆり』に聞いたところ、映画は撮る順番がバラバラで決まってない。

だがテレビドラマは出来るだけ筋がきに沿って撮影されるらしい。

まずは冒頭の過激なシーンからだ。

過激と言っても脱ぐわけじゃない。

私の役どころは救急外来の女医。

全身緑色の手術着にマスク、透明なサングラスをしている。

カメラは遠くから撮っており、私がメスを構えると徐々にカメラが寄ってくる。

腕の動きからメスが動かされたとわかるように大げさに動かした途端、私のサングラスに血糊が真一文字に吹き付けられた。

私は無表情に手で押さえつける演技をすると噴出した血糊がサングラスの途中で止まる。

これで冒頭にシーンが終わりである。

同僚の医師を演じる俳優が嘲りの表情を浮かべる。

二枚目俳優なのにこういう表情が得意分野だという俳優さんは多い。

清濁の両方が出来てこそ一人前なのだろう。

「全く動揺無しかよ。少しは女性らしく悲鳴でもあげてみろよ。」

私は無表情のままで視線を逸らすとそのまま処置室を出て行く。

手術室の控え室で手術着を脱いでいくと画面にタイトル、俳優、脚本家などのスタッフロールと共にテーマ曲が流れるはず。

本来は手術着を脱げば下着姿だが、ドラマの都合上白衣を着ていることになっている。
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