私の彼氏は超肉食系
そこに現れるのは、ヤクザ風の男を演じる俳優。

誰が見てもヤクザにしか見えない俳優は貴重な存在らしい。

ヤクザ映画では敵役の準主役クラスを演じれる技量を持っているらしいが、いかんせんヤクザ映画自体がごくわずかなのでこういう役を演じれる俳優が育たないらしい。

ヤッパを持ち、訳のわからない言葉を叫ぶ。

ヤクで気がふれた振りをしている熱演ものだ。

周囲のモブは悲鳴を上げて逃げる。

足ががくがくと震えている医師の腹に『ズブリ』と効果音。

もちろん、刃物で腹を刺しても音はしない。

倒れた医師の腹にはヤッパが突き刺さり、女性の悲鳴が鳴り響く。

そこに救急車のサイレンが重なり、私が勤める病院名が書かれた建物に到着する。

     ☆

麻酔が覚め、ベッドから起き上がる医師。

大怪我をすればいろんなチューブでがんじがらめにされるはずだが、まるで虫垂炎のような簡単な手術の後のような状態である。

そこに私が入っていって一言。

「よかったですね。内臓は傷付いていませんでしたよ。」

 微かに微笑む。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

『カットー。』
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