私の彼氏は超肉食系
先輩俳優に向かってこんなことを言うのは失礼かなと思ったがこれ以上長引かれたら明日の授業に響いてしまう。

「うんうん。もうそれでいいんじゃないかな。」

監督さんもなげやりだ。

スタジオの雰囲気も悪くなってきている。

「面目ない。」

彼が了承してくれたので私は『一条ゆり』主演映画で使えそうな微笑を頭の中でピックアップを開始する。

5つくらいかな使えそうなのは・・・。

「少しこの場で演じてみますね。監督さん、合図をお願いします。」

『スタート。』

カメラの配置はそのままらしい。

ピックアップした笑顔を浮かべてみる。

「・・・・・・・だめだ。」

真っ赤になった彼も自覚があるのか項垂れてしまう。

これもダメらしい

『カットー。』

これが延々と続いた。

仕方が無いので自分で作った笑顔を最後に持ってきたところ、なんとか彼は真っ赤にならずに済んだ。

女優『一条ゆり』恐るべしというところかな。

「すざまじい破壊力だな。君の笑顔は。」

そのシーンの撮影が終わり、彼は爽やかな笑顔を返してくれた。
< 118 / 307 >

この作品をシェア

pagetop