私の彼氏は超肉食系
「『ベティー』から脅迫を受ける可能性もなくなったことだし、私もクビにしてください。プロデューサーは喧嘩両成敗を行なったということで、どこからも批判を浴びなくて済むはずです。」

そうすれば、全てが綺麗に治まる。

この映画がヒットしてもしなくても私には関わりがない。

『お菓子屋』さんと『中田』さんとの関係だけは続けなくてはいけないだろうが女優を続けていくよりは随分と楽になる。

「ちょっと待って! この映画はどうする気よ。貴女が居なければ無かった企画なのよ。」

慌てたようにプロデューサー『一条ゆり』が引きとめようとする。

「『ベティー』を昇格させればいいじゃないですか。私は問題を起こした女優です。元々彼女は貴女のプロデュースにおいても、私の次に推していた女優でしょう。そのまま昇格してもなんら不思議じゃないはずです。少なくとも私が続投されるよりはね。」

「この映画の監督はどうするのよ。貴女を撮りたいと仰っている監督さんが沢山居るのよ。」

私が起こした問題行動を英雄視する向きも確かにあるようだが、監督に歯向かうような新人女優を本当に撮りたいと思っている人間は『お菓子屋』さんくらいだろう。

『お菓子屋』さんは『お菓子屋』さんで静観していて不気味だが、少なくとも私の学業の邪魔はしないだろう。

あきえちゃんに嫌われたくなければ。
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