私の彼氏は超肉食系
「甘いわね。イチユリストは50代から60代で、今発言力が高い世代なのよ。その彼らが作品を観て感動すれば勝手に拡散してくれるわ。あの世代の口コミ力は凄いのよ。」

「感動ですか・・・。今までのイチユリストの傾向から見て、明らかなコピー作品を彼らが観て満足してくれてもそれは過去に観た『一条ゆり』の映画を感動したことであって、この映画を感動して貰えるとは全く思っていなかったので・・・。」

これまで会ったイチユリストは呆れるほど、女優『一条ゆり』の映画を観たときの感動を言葉にしていた。

「貴女ねえ。いったいどういう演技をしていたのよ。」

「どういうって。女優『一条ゆり』が出演した映画のブルーレイから表情を写し取り、貴女から聞き出した当時に思い描いただろう情景や貴女が当時に感じたであろう思いで持って、写し取った貴女の表情に色を付けていっただけで、ほとんど貴女の劣化コピーと言ってもいい演技だと思ったのですけど・・・。」

プロデューサー『一条ゆり』はため息をつく。

やっぱり、呆れ返ったのだろう。

そんな表現の仕方をしている女優なんていないに違いない。

だが彼女から返ってきた言葉は正反対のものだった。

< 128 / 307 >

この作品をシェア

pagetop