私の彼氏は超肉食系
「ええ分かっています。賞賛の声だったのでしょう。その言葉は。でも、彼女には怨嗟の声に聞こえるのですよ。」

和重の声が優しく響く。

「貴女にもトラウマや後悔することがあるように、彼女にもトラウマや後悔することがあったのですよ。それだけのことです。もうこれ以上彼女を追い詰めないであげてください。」

「和重さん貴方はそれが何かを知っているのね。しかも私にも明かせないことなのね。」

「そうです。貴女が知ってはいけない。彼女にどうしても女優の仕事をやらせたいのでしたら、彼女が立派な医師になるまで待ってください。それまでは貴女の手で彼女を守ってあげてください。貴女にはその力があるはずだ。」

「そうね。1年くらいだったら私の権限で彼女に対するオファーを跳ね除けることもできるわ。」

「そうですか。じゃあ1年後の夏季休暇を利用して映画を作ることにしましょう。それなら1年先延ばしにできるでしょう。」

「話は終わりましたか?」

「遠藤先生。貴方が素直に喋らないからですよ。もう少しで彼女を失うところだった。」

遠藤先生の声を聞くと何故か安心する。
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