私の彼氏は超肉食系
「でしょうね。それで今後の彼がしたいことについて母親として了承したのですか?」

性転換手術の選択を裕也がする可能性があることもわかっていた。

だがそれを母親に伝えてどうなるというのだろう。

一笑に付されて終わりだ。

そもそもの前提が裕也の病気のことを信じてもらわければいけないのである。

机上の空論どころの話ではない。

どうしようも無かったのだ。

「あの子も大人よ。嫌だなんて言っても仕方が無いでしょう。それに裕也を捨てた母親なのよ。どのツラ下げて止める権利があるというのよ! あんなに一生懸命にお願いされたら折れるしか無いじゃない!!」

「すみません。つらいことをお聞きして・・・。」

「いいのよ。あの子が生まれ変わって、また私の子供になってくれるというだけでも幸せだもの。それにしてもすっかり騙されたわ。あの子がもう退院して一人暮らしをしていて、水商売をしているなんて。」

「すみません。本人に止められたもので。『今母親に止められたら一生後悔する。』って。止められたって貫き通せばいいのに元に戻れなくなるまで待つなんて、ズルイですよね。」

「それにしてもあなた達ってソックリね。水商売のために『ヒゲ脱毛をした。』と言っていたけど、長期間病院にいて外に出ず、その後は夜の仕事をしてたからか色白になってたわ。あれで化粧をしたら、本当にソックリなんでしょうね。まあ、貴女が私の若い頃とソックリなんだから当然なんでしょうけど。兄妹でも通るわよ。」

「嫌。あんなのと兄妹なんて嫌です。絶対、迷惑かけられそうじゃないですか。兄妹なら離れられないし。」

「まあそう言わずにこれからも仲良くしてやって。お願いするわ。」
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