私の彼氏は超肉食系
「そもそも、1億円のオファーを蹴ったのが悪い。この俺が大枚払って名前を出さずに密かにプロデュースした映画の主演のオファーを出してやったというのに、蹴りやがって! あれでどれだけの無駄金を使ったか。大抵の女は簡単に引っ掛かると言うのに。」

あの1億円の映画のオファーは、この男の罠だったらしい。

「仕方が無いでしょ。私にとってプロデューサーの言うことは絶対よ。その彼女が止めておけと言うんですもの。受けるはずが無いわ。」

プロデューサーがOKを出したとしても、医大の勉強が忙しくて長期間拘束される映画なんて出ている暇なんて全く無かったけどね。

この男のせいで第1作目は撮り直しになり10日間以上無駄になった。

休みの間にやるつもりだった勉強ができなかった。

あれから挽回するのにどれだけの睡眠時間が削られたと思っているんだろう。

ふつふつと怒りが湧いてくる。

「そもそも、貴方が『ベティー』をイジメるから悪いんでしょ。下手な日本人よりもずっと綺麗な日本語だったじゃない。なんであんなことをするのよ。」

「外国人女性なんて糞食らえだ。ここは日本だ。女優をやりたかったら、自分の国に帰ったらいいんだ。」

「何を言っているの? 彼女は日本人でしょ。日本人の父親とタイ人の母親を持つというだけで日本国籍なのよ。」

 女優『ベティー』はタイ生まれでタイのコミュニティーにも属しているが、商社マンの父親とタイの有名な歌手の母親が正式な夫婦となり、生まれてきた子供である。
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