私の彼氏は超肉食系
「年齢をバラすな! もう一度痛い目を見たいようだね。」

「あのう、カオリお姉さまとお呼びしてもよろしいですか?」

目の前で繰り広げられるドツキ漫才に辟易してきた私は慎重に言葉を選び声をかける。

流石に10歳以上年上の女性をお嬢さまとは呼べない。

お姉さまが限界だよね。

「うんいいわ。和重にしては、いい子を彼女にしたじゃない。」

そう言って、カオリお姉さまは豹変していた顔を元の優しい顔に戻す。

恐いです。

カオリお姉さまは、Ziphone傘下の警備保障会社に所属しているセキュリティーパートナーなのだそうである。最近のSPは依頼人を守るだけでなく会社のこともわかる人材にしようという方針に変わったとかで依頼料の安い和重の個人秘書兼SPの依頼を受けたそうである。

「志保。今、何かを言いかけただろ。」

拙い。

別れ話を考えていたことに感づかれてしまったみたいだ。

「痛っつー。」

さきほどからヒリヒリと痛かった頬を押さえる。

「ああっ、ごめんなさい。・・・これを使って。」

カオリお姉さまが車のトランクから救急箱を取り出して冷却剤を渡してくれる。

< 150 / 307 >

この作品をシェア

pagetop