私の彼氏は超肉食系
「和重もこんなところで立ち話してないで、車の中で優しくしてあげなさい。この子は誘拐事件の被害者なのよ。」

「ご、ごめん。そうだった。」

そのまま車に乗り込みパトカーに先導されていくうちに和重の腕の中で眠ってしまった。

虎ノ門の警視庁に到着する。

昔、テレビドラマで見たときは、『大きなビル。』と思ったけど、こうして見ると小さい。

虎ノ門ヒルズが近くにあるせいだろうか。

同じ通りの壁一面にアイドルの写真が飾られた五星レコードがあるビルから虎ノ門ヒルズの地下に降りていく道路をみてしまうと、なにか物凄くちゃちな感じがする。

     ☆

「『西九条れいな』さん。ようこそ警視庁へ。この度は大変な目に遭われましたな。」

刑事部捜査1課の応接室で事情を聞かれていると好々爺とした男性が入ってきた。

事情を聞いていた課長さんが直立不動の体勢を取ったところを見ると相当位が高い人物のようである。

「土方歳樹警視総監殿よ。」

同伴してくれていたカオリお姉さまが教えてくれる。

警視総監といえば警察官の階級でTOPに位置する人間である。

だけど全然普通のオジサンだった。

「お手数をお掛けして申し訳ありません。」

私はとりあえず頭を下げておく。

カオリお姉さまが携帯で通報した場所の基地局が東京都内だったというだけで、警視庁刑事局捜査1課から機動捜査隊、神奈川県警、静岡県警に渡った大捕り物に発展してしまったのである。
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